スタッフの募集・採用のポイント

スケジュールや募集方法、選考方法等、開業時のスタッフ募集と採用のポイントについて解説します。

スタッフの募集・採用のポイント

医院では、院長、看護師、事務員など様々な職種のスタッフが一緒に働くことにより経営が成り立っています。総合病院に比べ、ひとりのスタッフが医院に与える影響力は、大きなものとなりますので、優秀なスタッフの確保が、医院の運営を大きく左右する結果につながります。
はじめに採用時に大切なのは、経営者である院長が、『どのような医院にしたいのか』『どのような人材を採用するのか』等、医院の経営理念を明確にすることです。

採用スケジュール

規模、診療科目、等により、「経験が豊富」「人柄がよい」「専門技術を有する」等、求める人材が変わってきます。 スタッフ募集の広告を出しても良い人材の応募が少ないのが現状です。特に看護師は、病院の看護師不足が影響して、待遇条件が良くなっていること、新規開業が増えていることなど、売り手市場で、募集しても1名~2名の応募しかなかったり、子育てをしているので、フルタイムでは働けない等の条件付のケースもあります。医療事務・受付においては、資格ブームが反映してか、募集するとそれなりに応募はあります。しかし、資格は保有していても、実務経験がなくレセコンを扱ったことがない、など即戦力となる人材が不足しているのが実情です。募集を決めてから採用決定まで6ヶ月程度はかかるものと考えて、早めのアクションを起こすことが大切です。

募集職種と募集人数

診療所については医療法上のスタッフ標準数の定めはありません。医院の開業時に必要なスタッフ人数は、診療科目や診療所の規模により変わってきます。50人以上の大きな病院であれば、1人くらい休んでも、大した支障はありませんが、5人前後の小さな医院の場合、1人でも休めば、診療に及ぼす影響は大きくなりますので、慎重な対応が必要となります。
まず、来院が予想される患者の数から職種ごとに必要な人員を決めます。通常は、 無床診療所の場合、看護師2人、受付スタッフ2人、という体制が一般的です。また、診療科と規模によって薬剤師、放射線技師、栄養士、調理師、介護職等の有無と人数が変わってきます。

スタッフ必要人数

 無床診療所有床診療所
看護師 1~3人程度(資格は準看護婦でも可) 3人~6人程度
・正看護師必ず採用
・産婦人科の場合、助産婦が必要
事務員 1~3人程度(パート職でも可) 3人から5人
経理・人事に精通した人・事務長
薬剤師 法の定め無(院外処方は不要) 1人
放射線技師 非常勤で週数回勤務で可
(整形外科の常勤必要な場合あり)
1人
栄養士 不要 1人(常勤でなくて可)
調理師 不要 3人(病床の稼働による・外注業者)
介護職 不要 3人~5人(パート可)
清掃員 職員・外注業者へ委託 1人(パート可・外注業者)

募集方法

多くの医療機関で、看護師を中心に人手不足の状況です。このような状況の中で優秀な人材を採用するには、募集のタイミングと募集方法を念頭に採用計画を立てることが大切です。募集には媒体ごとの特性を良く理解して費用対効果の高いものを選びましょう。

タイミングがポイント(●…効果が見込める ▲…比較的効果が見込める ×…効果が見込み難い)

 人が動く時期求人広告
1月・7月 賞与をもらって退職した職員が比較的動く
2月・8月・9月・10月 人の動きが鈍い ×
3月 3月末決算賞与をもらって退職しようと求人広告を見る
4月 人の動きが鈍いが大病院へ就職した人が退職する場合がある
5月~6月・11月~12月 賞与をもらって退職しようと求人広告を見る ▲・●

求人媒体を考える

求人方法メリットデメリット
ハローワーク ・費用が発生しない ・労働条件が他に漏れやすい
医師会における求人 ・費用が発生しない ・閲覧者が少ない
知人紹介 ・費用発生しない、安心感がある ・トラブルになることもある
業界団体の会報誌 ・有資格者を確保出来る ・即効性が期待できない
新聞 ・信頼度が高く、全国的求人活動が可能 ・費用が高く広告効果が短い
学校への求人 ・費用が発生しない ・卒業生がいないと低い
インターネット ・閲覧者が多い ・労働条件が他に漏れやすい
フリーペーパー ・若い人の応募多い ・主婦層の応募少ない
折込チラシ ・費用が安く地域内に限定できる ・若い人の応募少ない

募集ポイント

多くの医療機関で、看護師を中心に人手不足の状況です。このような状況の中で優秀な人材を採用するには、募集のタイミングと募集方法を念頭に採用計画を立てることが大切です。募集には媒体ごとの特性を良く理解して費用対効果の高いものを選びましょう。

募集広告のポイント

募集広告をする場合は、応募者にわかりやすくしなければなりません。また、法律で規制された項目もあるので注意しましょう。 募集広告で最も気を配る事項は、『新規オープン』で働きやすい職場を上手にアピールすることです。応募者の中には、職場の人間関係に悩んで、転職を考えている人も多いのです。『新規オープン』で先輩のいないフラットな職場、新しい人間関係、綺麗・清潔で活力ある職場、そんなキーワードを盛り込めば、応募者の興味を抱かせるでしょう。

求人内容

募集内容具体的な仕事の内容
応募資格 必要学歴、経験、優遇資格
待遇 給与額(月給・時給)、昇給の有無と時期、交通費の支給、社会保険有無
勤務形態 就業時間
休日・休暇 休日、休暇、有給休暇
応募方法 応募に関する条件を明示
(希望職種明記、履歴書、職務経歴書郵送、要電話、連絡方法)

求人募集の注意点(法律で規制された項目に注意する。)

規制項目規制内容
労働条件の明示義務 業務や賃金など労働条件を明示する
男女差別の禁止 従業員の募集に際し、男女の差別を禁止
年齢による差別の禁止 必要な場合以外は年齢による差別禁止

相場の給与を把握する

開業マニュアル本、等の給与金額を当てにせず、開業地域の新聞折込チラシの『求人案内』で他の医院の給与額の相場を把握します。医療ビルなどのオープンにより新規開業が同時期にある場合、スタッフの奪い合いになることもあり、必然的に給与相場は高くなります。資金に余裕があるようなら、相場の1~2割増しの金額を検討することも必要です。当然のことながら求職者は、条件のいいところを優先するからです。開業の際、最も価値のあるスタッフは、現役で勤務している人です。その貴重な人材を獲得するには、多少の出費も先行投資と考えてよいかも知れません。

差別化できる広告

広告料金は、掲載するスペースで値段が変わってきます。多少費用がかかりますが、目立つ場所に大きく掲載した方が、応募者の目に留まりやすいでしょう。最初の募集で目立たずに応募がなければ、何回も掲載することになります。そのことを考えれば、初めから目立った掲載をしたほうが得策です。また、掲載するスペースが大きければ、イラストや写真、キャッチコピーなどを有効に活用でき、内容に差別化ができます。

選考方法と選考基準

選考試験は(1)~(3)の流れで行なわれるのが一般的ですが、(2)の書類試験等を実施しない場合もあります。
(1) 履歴書等での書類審査
(2) 性格テスト、小論文、書類試験
(3) 面接
この中で最重視するのは『面接』です。しかし、忙しい開業前の限られた時間内で応募者すべてに面接をするのは不可能です。書類選考の段階で優秀な人を絞り込まなくてはなりません。


(1) 履歴書等による書類選考のチェックポイント
応募者の見極めは、応募書類の確認から始まります。短期間で職場を変えている人は、協調性が無かったり、飽きっぽかったりするので要注意です。職務経験の有無をしっかり確認するようにして、その際に外来の経験のある看護師は、貴重な戦力となりますのでチェックが必要です。その他に診療科目の経験や出身校、取得資格の確認を行い、また、誤字脱字が多く書類に不備がある応募者は、その段階で選考対象から外しておきます。

① 経歴のチェック
② 履歴書内の必要記入事項の漏れのチェック
③ 誤字脱字の有無
④ 誠意、積極性、表現力が感じられる文面であるかのチェック


(2) 面接までの待ち時間の活用
医院のスタッフ募集の場合、診療圏内に住む近隣住民が応募者してくることがよくあります。このことは、将来、自院の患者になる可能性のある人を、採用試験の結果断るというケースも生じてくることになります。そのため、採用試験・面接において不快感を与えないように十分配慮する必要があり、面接を短時間に段取りよく進めるためには待ち時間を利用して応募者にアンケートを記入してもらうなど工夫が必要です。
アンケートの内容が履歴書と重なる部分もありますが、短時間で書類を記入させることにより、正確さや履歴書との整合性も確認できるので有効に活用しましょう。


(3) 筆記試験の実施
筆記試験としては、一般教養・性格テスト・作文のうち自院にあったものを選ぶと良いでしょう。性格テストは、短時間での面接では、判断することが難しい求職者の潜在的な性格を把握することができます。極端に組織に馴染みにくい人の判別や応募者が多いときの選別などには役に立ちます。
作文のテーマは、①当院で何ができるか ②これからの医療のあり方等、医療に携わる上での理念に関係するテーマにすると、自院の理念と一致しているか確認できます。


(4) 面接のチェックポイント
面接時における応募者の見極めは、大変難しいことです。客観的な視点を保つ上でも、面接は複数の担当者をつけることが望ましいといえます。面接では限られた時間で相手を判断しなければならず、事前に面接チェックシートを用意して、質問事項をしっかりまとめておき、待ち時間に記載してもらったアンケートにも事前に目を通し、それを参考に面接を進めると良いでしょう。

直接的質問事項 本人確認・住所連絡先 履歴書の内容の確認
家族構成・通勤時間
現職・前職の業務内容
退職理由
雇用形態 賃金・就業時間・休日・休暇など応募者の希望を確認
就業時間の確認
給与等の確認
経営理念 自院の理念や業務内容を理解しているか
業務内容
健康状態 勤務に耐えられるか確認
間接的質問事項 自己紹介と自己PRをしてください。  
転職理由を教えてください。 職場内のトラブルの有無の確認、育児介護等勤務に影響のある家庭の事情の有無が確認できる。
当院でやりたい仕事・実現したい目標 応募者の描いている仕事が自院で実現可能か確認する。
職場での失敗経験はあるのか 失敗経験から何を学んだかを答えられる人が良い。
「ない」と回答する人は、失敗に気づかなかったり、責任を他人へ押し付けがちで、入職後にトラブルを起こす可能性大。
前職で嫌な思いをしたことがあるのか 恨みごとを言う人は、ストレス耐性が低い可能性が高い。
嫌な思いをどう克服したか聞き、自己分析力やコミュニケーション能力を測る。
転職回数が多い、求職期間が長い理由は何か 妥当な理由であれば問題ないが、そうでなければストレス耐性や協調性にかける可能性もある
趣味は何か 日々の生活からストレス耐性を知る
趣味の話題で緊張を解く

採用結果の報告

①採用者

応募者が、別の医療機関へアプローチしてしまう可能性があるため、採用内定者が決定したら、すぐに、連絡をして今後のスケジュールを確認します。最後に、健康診断は必ず受けてもらいます。

②不採用者

ご縁がなかったとはいえ、応募者の中には、ご近所に住んでいる方=口コミ発生の可能性大です。履歴書を返却する場合は、一方的なお断りではなく、応募していただいたお礼と期待に添えなかった旨のお詫びの文面に加え、粗品として図書カード等をいれるケースもよくあります。これは、不採用者も将来患者になる可能性もあるため、小さな気配りが医院の評判へとつながるからです。

資料協力:JPコンサルタンツ・グループ
ペンデル税理士法人

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