医療機器等の選定とリース活用

リースの仕組みと活用上のポイントやリース利用のメリットとデメリット等について解説します。

1.開業時における機器・備品の選定

医院を開業する際に導入する医療機器・備品は、診療科目によって様々ですが、おおむね1,500万円から2,500万円前後を見込むケースが多く見受けられます。その限られた予算の中で、医療機器をどう組み合わせて導入するかという問題は、医業経営においては重要課題です。なぜなら、診療所の医業収入は、①初診料・再診料・紹介加算、②投薬料・注射・処置、③検査料・画像診断料の3つに大別されますが、この③検査料・画像診断料は弾力性が高く、医業収入に最も影響を及ぼすからです。
基本的な医療機器選定の方法としては、①自院の診療方針・得意分野から必要不可欠な医療機器(集患)と、②地域でニーズがあり、診療報酬の高い医療機器(収入)の2本柱をまず検討し、この2つを中心に予算枠の中で最適な医療機器の導入計画を策定することが望ましいでしょう。

参考 医療機器・備品の選定の流れ

①診療方針(提供医療)の決定
・その診療方針を実現する医療機器は何か


②診療圏調査
・診療圏はどのような年齢構成、性別構成か
・自院の診療科目で、どの程度の患者が見込めるか
・近隣の医療機関の高額医療機器の整備状況は

③診療の中心となる機器を選定
・自院の武器となる、得意分野の医療機器は何か
・マーケットで稼動需要があり、収益性のある医療機器は何か

 

④院内レイアウトへの落としこみ、機器備品リストの作成
・想定医療機器の重量・給排水・電気容量の検証
・医療機器搬入経路の検証
・電子カルテ・検査ファイリング導入時、保管スペースの有効利用
・機器備品投資枠の中で、最適な組み合わせの検証
・各医療機器の稼動予測・収入予測の試算

⑤業者選定 価格交渉 購入かリースか
・イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも確認

⑥開院準備
・使用方法、メンテナンス方法についての勉強会実施
・院内リハーサルの実施
・医療材料等の漏れのチェック、追加発注
・保守契約の締結

 

2.中古医療機器の導入とその際の留意点

医院開業において資金の問題は重要です。十分な運転資金を確保するためには、設備投資を抑えることも必要になってきます。そこで活用したいのが中古・新品医療機器の複合導入です。限られた予算で医療機器を揃える場合、優先順位の高いものは新品で、その他は中古医療機器を組み合わせて購入することも検討すべき課題になります。

中古医療機器導入の留意点

①中古医療機器の販売業者が、当該医療機器の製造販売業者に対し、“中古医療機器の流通について”の事前通知を行い、その承諾を得ているか。
②事前通知に対して、当該医療機器の製造販売業者より指示事項があった場合には、中古医療機器の販売業者はそれを遵守しているか。
③添付文書、取扱説明書等や附属品等に不足はないか。
④緊急時、休日・夜間等の支援体制は整備されているか。

参考 中古・新品医療機器の複合導入事例
内科(循環器)開業例(単位:円)

類別商品名数量新品参考価格参考中古価格
中古 デジタル無散瞳眼底カメラ 1式 2,400,000 1,500,000
中古 デジタル超音波診断装置 1式 3,600,000 1,800,000
中古 解析機能付心電計 1式 800,000 450,000
中古 血圧脈派検査装置 1式 1,200,000 800,000
中古 自動血球計数装置・分析装置 1式 4,000,000 1,800,000
中古 一般撮影用X線撮影装置 1式 2,500,000 1,500,000
新品 X線記録及び画像診断 1式 4,000,000 2,500,000
中古 超音波骨密度測定装置 1式 1,200,000 700,000
新品 体重計 1台 35,000 35,000
新品 身長計 1式 27,000 27,000
新品 卓上血圧計 1ケ 5,500 5,500
中古 全自動血圧計 1式 200,000 120,000
中古 聴力測定器・オージオメーター 1式 180,000 130,000
中古 自動視力測定器 1式 800,000 470,000
新品 電子スパイロメータ 1式 250,000 250,000
新品 シャウカステン 1式 60,000 60,000
新品 電子カルテシステム 1式 4,000,000 4,000,000
新品 診察台 1式 37,000 37,000
中古 オートクレーブ 1式 420,000 250,000
         
    合計 25,714,500 16,434,500

注)※1 価格には消費税が含まれておりません。
※2 設置、搬入費は商品により別途必要な場合があります。

3.リースの仕組みと活用上のポイント

(1) リースとは?
リースは財産の所有者である賃貸人がその所有に属する財産の占有及び使用を一定期間賃借人に移転し、賃借人はその使用料として賃貸料を支払う契約をいいます。一般的にリースという場合、ファイナンスリースを指します。

ファイナンスリースの取引要件

①中途解約の禁止がされている。
②フルペイアウト(リース料の総額がリース物件の取得額と概ね同額)となっている。
③リース料の支払内容が明記されていること。
④リース資産が著しく有利な価格で買い取る権利が与えられていないこと。
⑤リース資産の所有権が賃借人に存在しないこと。
⑥リース資産の性質などの識別が困難でないこと。
⑦リース期間が耐用年数と比して相当の差異がないこと。

 

 

(2) リースの仕組み

リースは医療機関が必要とする機器・備品などの物件をリース会社がメーカー・ディーラーから購入し、これを医療機関に一定期間賃貸する仕組みです。

 

 

(3) リースと割賦販売の違い

リースと割賦の主な違いは契約期間満了時の所有権移転の有無にあります。リースは、リース期間終了後には原則、リース会社に物件を返還する必要があり、固定資産税や保険料負担、廃棄処理などの事務管理はリース会社が行います。また、リース期間をその物件の耐用年数より短く設定できるので、短期間で経費処理することもできます。しかもリース料は毎月定額のためコストを容易に把握でき、賃貸借取引の会計処理ができるため、リース債務を顕在化しないことができます。(中小企業「資本金5億円未満または負債総額200億円未満の法人及び個人」に限る。)
しかし、リース料には金利や事務管理費用が上乗せされるため、割賦の月払額よりも割高になり、所有権がないためリース期間終了後も引き続き使用する場合には再リース料を支払わなければなりません。また、税制上の優遇効果が購入の場合に比べて小さいこと、などのデメリットもあります。
リースと割賦の選択には、設備の使用予定年数における現金流出総額の多寡と現在の資金調達力との兼ね合いで判断することになります。「リース料総額」と「割賦金支払予定総額+保険料+固定資産税-下取処分価額」を比較するのが良いでしょう。

 

 

参考 リースと割賦販売の違い

 リース割賦販売
契約の形態 賃貸借契約 売買契約
物件の所有者 リース会社 売買代金が完済されるまで物件の所有権はリース会社が留保し、完済されれば所有権は医療機関に移転
対象物件 ほとんどすべての動産 土地・建物以外のすべての物件
契約期間 比較的長期
税務上の規定と医療機関の希望により決定
数ヶ月~数年
頭金 不要
ただし、通常、月額リース料の2ヶ月分程度を前払リース料として支払う
購入代金の30%程度の頭金が必要
事務管理 減価償却、固定資産税の申告・納付、保険料の支払など、所有に伴う物件の事務管理はリース会社が行う 所有権移転の時期にかかわらず、契約の当初から、医療機関が物件の事務管理を行う
契約満了時の
処理
物件をリース会社に返還するか、再リース契約を締結
返還されたリース物件は、リース会社が廃棄物処理法などにしたがって処理
所有権が完全に医療機関に移転
廃棄処理したい場合は、医療機関が廃棄物処理法などにしたがって処理

(4) リース利用のメリットとデメリット
借り入れによる購入と比較した場合、次のようなメリットとデメリットがあります

 

リースのメリット

リースのデメリット

  • ・銀行の借入枠(担保枠)を温存できる
  • ・金利変動に影響されない固定金利である
  • ・法定耐用年数よりも短い期間で実質的な償却を終えることができる
  • ・リース料が全額損金処理できるので会計処理が簡素化できる(中小企業の会計は賃貸借処理が可能)
  • ・コストが把握しやすい
  • ・固定資産税や損害保険の煩わしさがない
  • ・中途解約ができない
  • ・医療用機器等の特別償却制度が利用できない
  • ・借り入れと比較するとリース期間が短いことが多く、期間が短い分、月々の支払額が多くなることがある

資料協力:JPコンサルタンツ・グループ
ペンデル税理士法人

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